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15周年への期待感を高める、感じのいい演奏だった 《伊豆フィルハーモニー管弦楽団第29回定期演奏会 》

■音楽評論家・伊豆フィルアドヴァイザー  近藤憲一
 伊豆フィルの第29回定期演奏会を聴いた。温かさのある感じのいいコンサートであった。プログラムは、スッペの《詩人と農夫》序曲、ベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第5番「皇帝」》、ミヨーのバレエ音楽《屋根の上の牛》、最後がチャイコフスキーの幻想序曲《ロメオとジュリエット》と、意欲に満ちた盛り沢山な内容。指揮は田久保裕一。
 元気溌剌と演奏された《詩人と農夫》に続く杉谷昭子独奏の《皇帝》は、古典派ピアノ音楽の演奏に大きな実績を残してきた杉谷が、楽員たちと心を通わせながら、ベートーヴェンの“親しく対話する”音楽の魅力を誠実に奏で、ベテランの持ち味を発揮した。
 後半の1曲目、アマオケが取り上げるのは珍しいミヨーのバレエ音楽で、伊豆フィルは好ましい挑戦ぶりを示した。2つの調性が混在して進み、聴き手を不思議な興奮で掻き立てる、演奏もかなり難しい音楽を楽しく聴かせた。トリの《ロメオとジュリエット》では、持てる力を全開させて、ロマン溢れる美しい旋律が次々と登場する大曲をドラマティックに歌い上げ、聴かせ上手の田久保の指揮によく応えていたのも印象的だった。
 伊豆フィルは来年いよいよ15周年。オーケストラとしての課題はまだ少なからず抱えているが、音楽に対する敬愛の心を失わず、音楽する喜びを誠実な演奏で伝えながら、なお一層市民に愛され支持されるオーケストラとして発展してほしいと念じてやまない。