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実は楽しい現代音楽の名曲:屋根の上の牛

■ヴァイオリン 原田武雄
ここで紹介するのは、今回演奏されるミヨー作曲のバレー音楽、『屋根の牛』。
伊豆フィル定期演奏会では久々の20世紀の音楽。(ファミリーコンサートでは久石譲と かアンダーソンはやっていますが・・・・)
現代音楽は、とっつきにくい、解りにくい、不協和音ばかり、とか、ともかく、食わず嫌いが多いのですが、意外とテレビでは使われてたりします。真央ちゃんが滑ってるアイススケートのBGMも、ハチャトリアンの仮面舞踏会という現代音楽です。短調でちょっと暗い感じがするものの、親しみやすい旋律とゴージャスな響きで、もう一度聴きたくなる様な曲です。
今回演奏する屋根牛も、同様にとても親しみやすい曲です。この曲は、1917年、ミヨーが外交官としてブラジルに赴任していた頃の、陽気に楽しい思い出をイメージして作曲された曲です。 "ギッコギコッコ" って感じの、 のこぎりの様な音で奏でるサンバモドキのリズムに乗せて、当時のブラジルの流行曲を繋ぎ合わせたものです。なので、中身は 20世紀初頭のブラジルの歌謡曲メドレーだったりします。でも、ただのメドレーではありません。街を歩いていて、色々な音楽が聞こえる様に、全然違う旋律が同時に流れていたり。車のクラクションのように、 突然トランペットがパパパーと鳴ったり。裏路地から表通りに出てパっと明るくなる様に、哀愁たっぷりの旋律からパッと底抜けに明るい曲に変わったり。陽気だけど、ちょっと悲しいブラジルの街の風景が浮かび上がって くるような曲です。ジャンコクトーも大変この曲を気に入ったようで、あっと言う間に バレエの台本を書いて、パトロンを見つけてきて、シャンゼリゼ劇場で公演してしまいました。第一次大戦後、ジャズなどアメリカ文化が大挙して入ってきたパリ。ブラジルの親しみやすい旋律と陽気なリズム、さらにはお洒落な舞台芸術と愉快な大道芸人の演じるバレエ、ナンセンスな台本と相まって、大受けだったようです。
今でも、パリにはこの作品から名前をとった『屋根の上の牛:Le Boeuf sur le Toit』というお洒落なレストランがあります。伊豆フィルの演奏を聞いたからには、パリに行った際には屋根の上の牛でのお食事などどうでしょうか?