指揮者よりひとこと 伊豆フィルの皆さんと共演するにあたり、今回シベリウスの没後50年と並べて、生誕150年を迎えたエルガーの作品を取り上げたく、
しかも難曲中の難曲「エニグマ」をどうしてもやってみたい、という私の切なる願いを皆さんは聞き入れてくださいました。感謝の気持ち
でいっぱいです。
エニグマにはもう一つの謎が隠されていると作曲者自身が言っています。それは演奏されない大きな主題が背後に隠されているというも
のです。この謎は未だに解明されていないのですが、一説によればバッハという文字(B-A-C-H)が主題に埋め込まれているとか。
しかしながらはっきりはわかりません。
この作品を前にして、エルガーがどんな思いを込めて一つ一つの音符を書き記していったのか。各曲につけられた標題は、素晴らしい友
人や妻に囲まれて満ち足りていた幸せを表現したものでしょうか。しかしそれだけでなく、この曲全編を通じて、何かもの悲しい、心揺さぶ
られる音楽が展開されますが、もしかしたらエルガーの心の奥底は「孤独」だったのかもしれません。最後のフィナーレにたどりついた時
の深い感動は、山登りで頂上を極めたときの充足感にも似ています。伊豆フィルの皆さんの熱演をお楽しみください。
後半に演奏するブラームスの2番も大好きな曲です。15年近く前になりますが、この曲を作曲したペルチャッハに行ってきました。陽
光が燦々と輝き、イタリアを思わせるような透き通った青空が印象的でした。北ドイツ生まれのブラームスはきっとこのような、温暖で自
然豊かな土地を好んでいたのかもしれません。湖面に照り返す、まぶしい太陽の光を思い浮かべながら、どうぞお聴きください。
(田久保裕一)
■曲目 フィンランディア(合唱付き) シベリウス
エニグマ変奏曲 エルガー
交響曲第2番 ブラームス
■指揮 田久保裕一
■伊豆フィル合唱団
